試し読み
連載をしています。今日はその一部をご紹介したいと思います。
これはその第一回目の記事です。
金のためにゴミ清掃員となった。七年前の話だ。僕の動機はいつも不純で汚い。お笑いを始めたのも女の子にモテると聞いたからだ。二十一年前の話だ。僕はお笑いを完全に舐めきってい。四、五年もすりゃそれなりにテレビも出れて飯くらい食えるだろとスベっても明るい未来が待っていると信じて疑わなかった。周りの同期達は徐々に結果を出し、置いてけぼりにされ、女の子にモテることは一度もなかった。お笑いを始めて九年目、僕のお尻はボウボウに燃え、カチカチ山のエンディングを見ているようだった。相棒と話し合い、前々から腹案にあった二人で悪口を言いまくるネタをやろうと説得をして、これでウケなかったらお笑いを辞めると決心したら、ウケた。お笑いネタブームの時流に乗り、レッドカーペッドやエンタの神様に出演し、このままひょっとしたら売れるかもー、と思ったら番組が終わった。もう一回言っておこう。番組が終わった。徐々にお笑いの仕事は減っていき、貯金は底を尽きかけてもまだ一発逆転が明日訪れるかもしれないと土俵際で自分でも信じられない粘り腰を見せ、縄の上で明るい未来を夢見た。妻が妊娠した。やったねと妻に言いながら、土俵から落ちた。金がいる。とりあえずバイトをしながら、凌いで堪えて好機をうかがおうと思った。いきなりピンチが訪れた。その時、三十六歳。アルバイトが見つからないのだ。そんなことある? と思いながらも九社落とされた。廃業。お笑いもここまでかと覚悟した時に「廃業? そうか、芸人を廃業した友達は腐る程いる。そいつらは何かしらの職に就いている筈で、しかも数年経っている。何とか口利きでバイトに潜り込むしか俺の生きる道はなーーい………。
と、まぁこんな感じでやっています。
ここまでは『このゴミは収集できません』にも似たようなことを書きましたが、こちらは清掃員なりの環境問題等も扱っています。
よろしかったらチェックしてください。
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